道具箱にある歴代マニュアルマイクロニッコール55mmレンズ全7モデルのお披露目です。
上から製造年代順に並んでいますが、6代目 ”Ai Micro-NIKKOR 55mm f=2.8”は幻のレンズと
言われておりやはりここにも姿を見せていません。そう言うわけで、実は6モデルの顔見世となりました。
初代 Micro-NIKKOR Auto 55mm f=3.5 (オート) 初代モデル ”オート” には 前期モデル、後期モデル-1、後期モデル-2と国内向け(距離がm表示)と
輸出向け(距離がfeet表示)など多くのタイプが存在します。非Aiレンズですが、後期モデル-2からは
ニコンによる正規Ai改造品が存在します。
発売開始は1963年3月。製造番号は188101~273153
下の写真は、国内向け前期モデルです。
2代目 Micro-NIKKOR-P Auto 55mm f=3.5 (Pオート) 2代目モデル ”Pオート” には 前期モデル、中期モデル、後期モデル(?)などがあります。距離表示が
mとfeetの併記になり、ピントリングがゴム製のダイヤモンド模様に変わりました。また、撮影倍率表示が
距離表示の上側にオレンジ色で追加されています。非Aiレンズですが、全てのモデルでニコンによる正規
Ai改造品が存在します。
発売開始は1970年4月。製造番号は600000~728347
下の写真は中期モデルです。
3代目 Micro-NIKKOR-P・C Auto 55mm f=3.5 (P・Cオート) 3代目モデル ”P・Cオート” は レンズの反射防止コーティングが多層化されたモデルで旧モデルの
単層コーティングに比べレンズの光透過率が向上し、フレアやゴースト耐性が良くなりました。左側写真の
外観で ”Pオート”と見分けるのは殆ど不可能ですが、レンズ前面の飾りリングに白く刻印されたレンズ
名が ”Micro-NIKKOR-P
・C Auto” と黄色で表示した部分が追加されているので見分けがつきます。
また、レンズのスクリューマウントをレンズ胴体に止めているネジが旧モデルではマイナスネジでしたが、
P・Cオートからプラスネジに変わりました。3代目モデルのマイナーチェンジはどうも無いようですが、
見つけられないだけかも知れません。非Aiレンズですが、全てのモデルでニコンによる正規Ai改造品が
存在します。
発売開始は1973年6月。製造番号は730001~811928
4代目 New Micro-NIKKOR 55mm f=3.5 (ニューマイクロニッコール) 4代目モデル ”ニューマイクロニッコール” ではデザインが一新され、ゴム巻きの近代的なデザインに
なりました。また、新しく接写リングの名前”PK-3”と接写リングを付けた時の撮影倍率が追加されまし
た。4代目モデルには、前期-1,前期-2、後期などのモデルがあります。
旧モデルとの見分けは容易ですが、5代目”Ai”モデルが全く同じ外観を引き継いでいるので”Ai”との
区別がチョット難しいようです。”ニュー”は 非Aiレンズなので、カニの爪に穴が明いていません。従い、
”非Aiのニュー”は割合簡単に見分けがつくのですが、ニコンで正規に”Ai改造”された”ニュー”には
カニの爪に穴があり、絞りリングに小文字の絞り値も追加表記されていて”Ai”との区別が難しいようで、
誤って”Ai”として中古市場に出回っているものを良く見掛けます。
然し、外観の表記を良く見ると、”Ai”レンズは接写リング名が”PK”となっていますし、また、レンズ後部に
”開放F値連動ガイド”と呼ばれる黒い突起が追加されているなどの違いがあります。非Aiレンズですが、
全てのモデルでニコンによる正規Ai改造品が存在します。
発売開始1975年5月。製造番号850001~924701
下の写真は製造数が一番多い後期モデルです。
5代目 Ai Micro-NIKKOR 55mm f=3.5 (Ai マイクロ f3.5) 5代目モデル ”Ai マイクロ f3.5” は 絞りリングへの小文字絞り値表記の追加、絞りリングの一部を
削りとった露出計連動ガイドの追加、、レンズ後部への”開放F値連動ガイド”追加などで”Ai”カメラ
ボディと連携して自動露出やマルチパターン測光などの便利な機能(現代のカメラでは当前ですが)を
実現したレンズとなりました。 そして、電気接点を持た無い”非CPU”レンズの中では唯一”Ai-×△○□”
レンズ”だけがデジタル一眼レフカメラに取付使用可能なレンズなのです。無論”Ai-S”レンズは”Ai"の
名前が付いているので使用可能ですし、Ai改造されたレンズもデジタル一眼レフカメラで使用可能です。
5代目モデルには 前期、中期と後期の3モデルがあります。
発売開始1977年5月。製造番号940001~
下の写真は製造数が多い後期モデルです。
6代目 Ai Micro-NIKKOR 55mm f=2.8 (Ai マイクロ f2.8) 5代目モデルまでは、レンズの明るさ(開放絞り値)が全て f3.5 で全モデルの光学設計は同じでした。
モデルチェンジとなった6代目は、光学設計を一新しレンズの明るさも f2.8 と旧モデルの1.5倍となり、
更に近距離補正方式を採用し近接撮影での像のゆがみを軽減させたモデルです。
ところが、”Ai”と命名され1980年2月に発売されたこのレンズは、翌年1981年12月発売となる7代目
モデルと外観も構造も全く同じ”Ai-S"仕様だったようのなのです。そう言うわけで、”Ai"仕様のf2.8レンズ
は幻のAiレンズと呼ばれるそうです。この辺りの詳しい情報は、下のリンクに掲載した「ニコンカメラの
小(古)ネタ」に載っていますので、興味のある方はどうぞそちらをご覧下さい。
発売開始1980年2月。製造番号179041~
7代目 Ai Micro-NIKKOR 55mm f/2.8S (Ai-S マイクロ f2.8) 7代目は2011年現在現行モデルとして生産されている ”Ai-S マイクロ f2.8S” です。1981年12月
以来30年の長き仁渡りマイナーチェンジなく生産され続けています。今は只ディスコン(生産中止)と
ならぬよう祈るばかりです。
Ai-S 以前の旧モデルではピントリングゴム巻き後側(カメラ側)に表記されている撮影倍率や距離の表示位
置に対し、ゴム巻き前側に表記されているレンズ名称の位置がどの個体でも必ず同じ位置でした。ところ
がAi-Sでは全くランダムな位置になっているようなのです。詳しく多数の個体を調べれば何らかの規則性
が見つかるのでしょうが、どうもランダムのような気がしてなりません。どのような理由があったのでしょう
か。この事実に気づいた時は、何故かビックリしたのを覚えています。
(2011/09/08追記) 販売開始1981年12月。製造番号186211~

以上で歴代マイクロニッコール55mmレンズの紹介は終わりです。お手持ちの55mmマイクロニッコールが
何代目のモデルか調べて見たくなった時の参考にして戴ければと思います。モデルの特定には外観もさる
ことながら、製造番号でどのモデルか判別するのが、一番確かな方法です。
注記1.各レンズの名称と発売開始時期は「Wikipedia ニコンFマウントレンズの一覧」を参考にしました。
2.各レンズの製造番号は「Nikon Lenses」
(http://www.photosynthesis.co.nz/nikon/lenses.html)
と、「ニッコールレンズ 諸元表」
(http://nikomat.org/lens/speclist.html#std)
を参考にしました。
3.ニコンホームページ「ニッコール千夜一夜物語」第25夜と第26夜にマイクロニッコールの興味深い
記事が載っています。
4.ニコンFマウントについての丁寧で写真入りの分かり易い解説については、下記が参考になります。
「決定版(?) ニコンFマウント解説 (By キンタロウ)」
(http://kintarou.skr.jp/sanpo/F-MountDetails.htm)
5.Ai 55mm f2.8(Sが付かないレンズ)についての情報は、「ニコンカメラの小(古)ネタ」
「AiマイクロニッコールF2.8は存在したのか?」
(http://nikonfan.cocolog-nifty.com/blog/2009/01/ai55mmf28-e9bd.html)
と、「AiマイクロニッコールF2.8は存在したのか?続編」
(http://nikonfan.cocolog-nifty.com/blog/2009/01/ai55mmf28-b7a7.html)
などを参考にしました。
改訂1.Ai 55mm f3.5のマイナーチェンジは2回と記載していましたが、その後の調査で3回と判り
ましたので、記述を訂正しました。(2011年9月13日)
2.各モデルにニコンによる正規Ai改造品が存在することを追記しました。現在ではニコンではAi改造
サービスを取り扱っていません。絞りリングの一部を削り取り露出計連動ガイドを設けるAi改造を
すれば、非Aiレンズでもデジタル一眼レフカメラで使用可能になります。(2011年11月22日)